ケガや心の病により業務に就くことができないケース。そんなとき、健康保険組合(以降、健保と記載します)から受給できる可能性があるのが傷病手当金(しょうびょうてあてきん)です。でもこの制度、意外と知らない方が多いのでは?うつ病にかかり、会社を辞めようと思われている方、この制度を利用できる可能性があるので、一度検討してみては?もう会社を辞めてしまった方は、続きを見ない方がいいと思います(ご自分が大損したことに気づくのは嫌ですよね・・・)。
この投稿では傷病手当金について簡単に説明し、これから受給する際に気を付けるべきポイントをまとめてみました。
傷病手当金とは?
勤務先で健康保険組合に入っているひとが、(仕事以外の理由による)病気やケガで業務に就くことが出来ない場合に、療養中の生活保障として支給される制度です。勤務期間が1年以上であれば、退職後も継続して受給できます。
受給の要件は?
健康保険組合に加入している
勤務期間中に受給するなら、健保加入期間が1年未満でもOKです。
傷病で働けない期間が連続3日間(待機期間)以上
傷病で働けない期間が連続で3日間以上あれば、4日目からが傷病手当金を受給可能な期間ということになります。なお、退職後も継続して傷病手当を受給するつもりであれば、退職日にうっかり挨拶で会社に顔を出し、それが出勤扱いにされてしまったらアウトです。
医師に傷病で働けないことを認定してもらう
医師に傷病により働ける状態でないことを認定してもらう必要があります。これに関する注意点は後述します。
支給される時期・額・期間は?
前述の待期期間後から、標準月額(ボーナス含まない給料、ってイメージ)の66%が、最大18か月間支給されます(実際は日割で処理されます)。また、傷病手当金は無税です。失業手当と比べると支給される時期の早さ、額、期間とも上です。非常に手厚いですね。失業手当は傷病手当を受給している間、受給の権利を延長することができます(ハローワークで手続きをします)。なので、まず傷病手当を受給して、もし18ヵ月の間に治らなければそこから失業手当を受給することができます。傷病手当金受給中は、通院を続けながら1ヵ月に一度くらいの頻度で申請書(健保が指定するフォーマットがあります)を健保に提出し、それに基づいて手当金を指定の口座に振り込んでもらいます。
気を付けるべきポイント
傷病認定してくれる医師をみつけること
前述のとおり、傷病手当金を受給するには、医師に働ける状況ではなかったことを証明してもらう必要があります。ケガだと働けるor働けないの判断が明白でしょうが、心の病だと医師によってその線引きがかなり異なると思われます。もし、あなたが心の病にかかっているのに、通院している医師に「その程度では認定できない」というようなことをいわれたら、さっさと見切りをつけて別の医師にかかりましょう。相性が悪かったと思って。次は、可能であれば病院に事前に電話するなどして、傷病の認定に対し理解ある医師かどうかリサーチしておくといいでしょう。断られ続けると診察料も馬鹿になりませんから。
薬を購入しないとダメ
処方箋で出された薬を購入しないのはNGです。傷病手当金を受け取る要件として「医者の指導に従って療養に専念すること」があるからです。そして買わないとまずバレます。なぜなら、通常、医療費を支払う際は健康保険カードを提示するわけですから、健保は通院と薬の購入履歴を把握できるのです。なので薬を買わなければ、健保から『このひと、通院はしてるみたいだけど、薬買ってないぞ。詐病か?』と疑われてしまいかねません。飲み忘れなどで薬が余っているならその旨、医師に伝え、処方数を減らしてもらいましょう。
働いたらダメ
治療に専念する義務がありますので、再就職が決まって働き始めたら当然、受給できません。就職活動もダメです。ただし、リハビリ的な位置づけで内職をするのはOKなようです。事前にご自身が加入されている健保の規定を確認することをお勧めします。
療養期間が長いと再就職活動の際に不利に働くかも
会社を退職してから傷病手当金を継続して受給する場合、療養期間中は無職なわけですから転職活動をする際、不利になる可能性があります。在職中に傷病手当金を受給するのがベターでしょう。
まとめ
「傷病手当金が、非常に手厚い制度だというのは分かったけども、自分がそれを利用するのには抵抗がある」という方。そのお気持ちは分かります。しかし、こういうときのために保険料を支払続けてきたのだから、当然の権利として有り難く利用させてもらいましょう。しっかり心と体を立て直し、再就職すればいいんですから。