プロ野球の日本シリーズを観戦していてアナウンサーが
「日本シリーズは短期決戦なので、勢いのあるチームがそのまま優勝する確率が高いんです!それを証拠に、これまでの日本シリーズの歴史で二連勝したチームが優勝したのは●%で・・・」
というような説明をするのを耳にすることがあります。
でも、いつも自分は思うんです。
それって本当に珍しいことなの?理論的には○%なんで●%は高い/低いといってくれないと、よう分からん!
そこでこの投稿では、1950~2015年の日本シリーズの勝敗を元に、過去の日本シリーズでは理論値と比較してどんな珍しいことが起こってきたのか、を調べてみました。
勝敗状況別の優勝確率
ご存知のとおり、日本シリーズは最大7戦までで、4つ先勝したチームが優勝となります。説明を簡単にするため、対戦チームの力は五分五分(勝率.500)としました。引き分けは考えません。
勝敗状況別の優勝確率は次のとおりです。
先勝したチームの優勝確率は65.6%、二連勝したら81.3%、三連勝だと93.8%まで上昇することがみてとれます。
負けた場合はこの逆で、例えば三連敗したチームが優勝する確率は6.3%まで低下します。
実績データとの比較
次に、1950~2015年までの66シリーズの実績のデータを用いて、勝敗状況別に優勝した率を集計しました。さきほどの理論上の優勝確率と比較してみます。
まず、青枠で囲んだ部分ですが、実績値から理論値を引いた「②-①」の部分がマイナスになっていることから、実際には理論値ほどの水準ではないことが分かります。
なので、2016年の日本シリーズでアナウンサーが「これまでの日本シリーズの歴史で、二連勝したチームが優勝したのは76.5%で、勢いのあるチームが優勝するんです!」的なことをいっていたら、「いや、二連勝したチームの優勝確率は理論的には81.3%だからむしろ低いやん!」と心の中で思ってもらえればと思います。
次に赤枠で囲んだ部分です。
ここは三連敗のあとに四連勝の部分ですが、理論的には先述のとおり三連敗チームの優勝確率は6.3%に対し、実績は17.6%と大きな差が生じています。
66年の歴史の中で、一方のチームが初戦から三連勝したパターンは17回ありますが、そのうち3回も三連敗から四連勝での逆転優勝があったということです。
これは驚くべき数字ですね(なお、二項検定をしてみたのですがサンプル数が少なかったためか、残念ながら5%基準での有意差はみられませんでした)。
逆転優勝率が理論値よりも高い理由として、以下のようなものが想像されます。
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三連勝したチームが、興業的な理由からホームゲームでの試合数確保のために、勝ちを追究しなかった
三連勝したチームの4,5番手の先発ピッチャーの力が、1~3番手と比べて明らかに劣っていた
三連勝したチームの、この試合で優勝を決めなくては、という心理的なプレッシャー三連敗のあとの四連勝
ちなみに、三連敗のあとの四連勝したチームは以下のとおりです。
まとめ
この投稿では、日本シリーズの勝敗状況別の優勝確率を示しました。
すると実際には「三連敗のあとに四連勝」が理論値以上に頻出していることが分かりました。
2017年日本シリーズはどんなチームの対戦になるでしょうか?
確率を超えたドラマがみられるといいですねー。