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「芝温泉」芝中学校の独特な魅力

芝中学校は東京都港区にある中高一貫の男子校(芝学園公式HP)。中学受験では「難関校」や「中堅進学校」に分類される学校のひとつだ。開成・麻布などといった最難関校受験者の滑り止めとしても、よく利用される。

2021年11月23日

ただ、入学時の偏差値と大学進学実績を見比べるといわゆる「コスパ」が悪い。例えば偏差値のランク的には、芝中学と攻玉社中学は同水準だが、後者のほうが断然、「コスパ」がいい。

そんな状況がありながらも、私の息子は2023年現在、芝中学に通っている。この投稿では私(保護者)が思う芝の魅力・特徴に触れつつ、息子(と私)が芝を選んだ理由について記す。

自分で言っちゃうのか、「芝温泉」

芝は入学してからのその「ぬるさ」から「芝温泉」と揶揄されることがある。あまり勉強しろ、と追い立てることはないということだ。

学校側もこれを踏まえて、自校のブランディングをしている。

例えば、毎年夏頃、小学生の親子向けに学校紹介イベントが開催される。ここで、大学進学実績のことには一切触れない。芝の雰囲気を伝えることだけに終始する。

また、入学すると保護者に対して大学進学実績を報告する会がある。あまり進学実績が奮わなかった年の報告会で、校長は開き直って(冗談っぽくだが)「皆さん、(進学実績が奮わないって)分かってて(息子を)入れたんですよね?」と宣った。保護者は皆、苦笑していたが和やかな雰囲気で報告会は終わった。保護者は「コスパの悪さ」を覚悟の上で、この学校を選んでるんだろうな、と感じる。

将来母校を愛せるのか?

ここで唐突だが、私と私の父の話を記させてもらう。

私は関西の私立中高一貫校出身(1990年代後半卒)なのだが、母校に対する愛校心はほとんどない。卒業後、寄付の依頼が定期的に来るが、全く寄付する気になどなったことがない。一方、私の父も同様に関西の私立中高一貫校(私の母校とは別。1960年代後半卒。)を出ているのだが、母校への愛校心が強く、たびたび寄付にも応じているようだ。

この愛校心の違いはどこから生まれたのか?私が母校に対して愛校心がない理由ははっきりしている。勉強を強いられた感が強いからだ。これは一例だが私の母校では当時、校内の定期テストの成績をトップから最下位まで貼り出していた。成績下位の人たちからすれば「さらし首」だ。

なお、私も父も世間一般ではまずまず名門といわれる国立大学を卒業している。その点では私も母校に対して少しは恩義を感じている。楽しい授業もあったし、好きな教師もいた。今も関係が続いている友人もいる。しかし、トータルで母校が好きか?と問われると、先の理由から明確に「否」だ。

ここで、父と私でどちらが幸せな・豊かな学校生活だったのだろうと考えたとき、明らかに父だと思う。そして息子にも私の父のように母校を愛する人でいてほしいと思った。息子が第一志望校として芝中学を選んだとき、全く異存はなかった。

息子は学校に対して…

2023年現在、芝中学に通う息子はそれなりに学校に対して満足しているようだ。「ぬるい」とはいってもそこはやはり進学校、定期テストのたびに息子が苦労して机に向かっている姿をみる。

息子の学校生活に対するコメントで印象的だったものをひとつ紹介する。

「友達と話をするのが楽しいということに初めて気づいた」

気の合う友達ができた、ということなのだと思う。このまま健やかに育ってほしい。

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