先日の『2015キングオブコント』(TBS)にて、『コロコロチキチキペッパーズ』が見事優勝し、8代目キングに輝きました。
この投稿では、どのコンビが面白かった云々ではなく、本大会から採用された審査方法に着目し、「審査員の中で誰が一番”攻めた”審査をしていたのか」について述べようと思います。
審査方法の変遷
まず、審査方法の変遷について振り返りたいと思います。審査方法はこの2年で大きく変わりました。ポイントを以下にまとめてみます。
本年度にかけての最も着目すべき点は、ベテラン芸人5名による採点方式となった点です。旧方式では準決勝で敗退した芸人が純粋な面白さ以外の要素(所属事務所の関連、番組的にこうなったほうが面白い etc)で評価してしまう恐れがあったように思います。よって、個人的には2015年方式のほうが、ネタを正当に評価する上で相応しいものに近づいたのではないかと考えます。
誰が一番”攻めた”審査をしていたのか?
ここで、今回の投稿の本題です。『2015キングオブコント』の5名の審査員のうち、誰が一番”攻めた”審査をしていたのか、について考えてみました。
“攻めた”審査とは何か?これに関連して、『ワイドナショー』(フジテレビ)でダウンタウン松本人志さんが、『THE MANZAI2014』(フジテレビ)の審査結果について「審査員は自分の好みを貫くべき」という趣旨のコメントをしています。
参照:http://numbers2007.blog123.fc2.com/blog-entry-6548.html
今回審査員を務めたのは以下の5名です。彼らの審査にはどの程度、独自性があったのでしょうか?
- ・松本人志(ダウンタウン)
- ・三村マサカズ(さまぁ〜ず)
- ・大竹一樹(さまぁ〜ず)
- ・設楽統(バナナマン)
- ・日村勇紀(バナナマン)
審査結果から確認しようと思ったポイントは下記3点です。
- ・最も独自の評価軸を持っていたのは誰か?
- ・コンビで笑いのツボが似ているから、審査結果も類似するのでは?
- ・ボケとつっこみで審査結果が類似するのでは?
まず、今回の全15コントの審査結果です。
上記のままだと分かりにくいので、審査員ごとに15ネタの得点を順位化して、エクセルの機能を使って濃淡をつけてみました。
一見すると、だいたい濃淡のつき方は類似していることが分かります。もちろん、「おもしろいネタは、誰がみてもある程度おもしろい」と思うので、評価がある程度似ること自体は想定通りです。ただ、設楽さんの『さらば青春の光』に対する評価が特徴的です。設楽さん以外は14位or15位と低評価であるのに対し、設楽さんは6位と比較的高評価です。
次に審査員間の評価の関係性を測る目的で、相関係数(ピアソンの積率相関。計測対象は点数)を算出し、同様に濃淡をつけました。
全ての組み合わせで正の相関が確認できます。日村、三村、大竹、松本の4名間の相関に限定すると、どの組み合わせでも相関係数は0.7を超えており強く類似する傾向を示しています。
一方、設楽と他の4名との相関は0.7未満であることから、この見方でも設楽の評価は比較的独自性が強いことが読み取れます。
なお、コンビ同士、ボケ同士、ツッコミ同士の相関が際立って高い訳ではないことが確認できました。
- ※相関係数は-1~1の値をとり、正値の場合は一方が高い時に他方も高くなるという関係性を示します(正の相関)。逆に、負値の場合は一方が高い時に他方は低くなるという関係性を示します(負の相関)。また、値の絶対値が大きいほど、その傾向が強く現れていることを意味します。0のときは無相関で、線形の関連性がみられないことになります。
一番”攻めていた”のは設楽さん!
設楽さんは『さらば青春の光』のネタに対して、以下のようにコメントしています。
「いろんなタイプのネタができる感じが受取れた。ネタをやってやってやりまくっている感じが見えて良かったと思います。」
こんな評価軸、一般の素人には絶対にないですね。
年末に漫才頂上決戦のM-1グランプリが開催されます。
審査員には是非とも、今回2015キングオブコントで設楽さんが見せたような、「あまり会場の笑いは取れてなかったけど、あるいは、ほかの審査員には評価されないと思うけど、俺はおもしろいと思う」という独自性をどこかで見せてほしいです。
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